サブリース(不動産一括借り上げ)とは不動産管理会社が、大家からアパート一棟をまるまる借り上げて、全室満室計算80%~90%程度の家賃保証をするサービスです。
一見聞こえはよいのですが、実はサブリースは大家さんにとって大きなリスクが潜むシステムです。
サラリーマン大家を目指す側からすれば、サブリースは危ないので絶対に選択しません。
インターネットでは企業側のよい情報ばかりが目立ちますが、大家側の立場から具体的なサブリースのデメリットを6つ紹介します。
サブリース契約を検討中の地主の方はぜひご覧下さい。
リスクを隠したサブリースの謳い文句
サブリース(不動産一括借り上げ)を推奨してくる営業マンやインターネット情報には注意が必要です。
サブリースの一見メリットと思えるようなよいことばかりを謳ってきますので注意が必要です。
どのような謳い文句で提案してくるのか確認してみましょう。
空室リスクを軽減できる
サブリースなら満室想定の家賃保証をしますのでローン返済も安心ですよ。
サブリース契約の場合、満室想定家賃の80~90%を毎月もらうことができます。
大家さんが不動産経営でもっとも不安なのは空率リスクです。
少し地方部や駅から離れた立地での不動産経営は、なかなか入居者がつかない場合それがまるまる損失となります。
家賃7万円で10部屋とした場合、3部屋空室となるだけで月21万円の収益減となります。割合としては30.0%ですからそれならサブリース契約のほうが安心です。
日本は人口が減っていますので空室リスクが心配です。しかしサブリース契約なら空室があっても家賃保証されますから、ローン返済の心配がありませんよ。
サブリース会社のズルい営業マンは空室リスクを煽ってくるかもしれませんが、これはサブリース会社の戦略です。
そもそも空室リスクの高い場所で賃貸経営をすることが間違っているかもしれませんよ。
管理・事務を一任できて楽
サブリース契約なら、建物管理・事務すべて一任いただけます。
何もしなくてよいのがメリットですよ。
サブリース契約なら確かに手間は減るかもしれません。
しかし、これはほかの一般管理会社に管理委託しても同じです。
一般的な管理会社の手数料相場は家賃の5.0%、貸付時家賃の1ヶ月分程度です。
サブリース契約の提示条件についてはよく確認したほうがよいですね。
上場している大きな会社だから安心
当社は一部上場企業で自社ビルも保有しています。
年間数100棟建てていますので安心してください!
大手企業であることはハウスメーカーの口説き文句のひとつです。
日本人は多くの人が利用していることに安心感を抱いてしまいます。
しかし、専業大家さんのほとんどはサブリース契約を利用していません。
サブリースを利用しているのは知識のない地主さんばかりです。
「サブリース契約の人がたくさんいるから大丈夫!」と何も考えていない人も確かにいるでしょう。
ですから、ハウスメーカーは利益が出ているのかもしれませんね。
相続税対策になる
サブリース契約は満室想定なので相続税対策となりますよ。
不動産経営が相続税対策となることを前面に出して、無理なアパート建築をさせようとする営業マンにも注意が必要です。
確かに賃貸不動産は相続税対策にはなりますが、収支プランをよく見せてくるのもズルい営業マンの手口です。
どうせ遊んでいる土地で相続対策になるならと、需要のない地域でもアパートを建築させようとしてくることもあります。
これは建築費でもハウスメーカーは収益が出るからです。
相続税が安く済んでも、大きな借金と空室の多いアパートを抱えるリスクは理解しておきましょう。
サブリースのデメリット6つ
大手ハウスメーカーが推奨してくるサブリース(不動産一括借り上げ)ですから、安心感から利用している大家さんが多いのも事実です。
しかし、知識のある大家さんはほとんどサブリースを利用していません。
それはサブリースのデメリットを知っているからです。
ここではサブリース契約の6つのデメリットを大家側の立場で紹介します。
①家賃収入が減る
サブリースの1番大きなデメリットは家賃収入が減ることです。
仮に全室満室として家賃7万円×10部屋(サブリース契約満室の80.0%)のアパート経営として考えてみましょう。
●サブリースの場合
家賃7万円×10部屋×0.8(80.0%)=56万円
●一般管理会社の場合
家賃7万円×10部屋×0.95(管理費5.0%)=66.5万円
サブリース契約が家賃収入80.0%の場合、月額家賃で10万円以上の差が出ました。
年額計算すると120万円以上の差となります。
すべて満室経営できた場合には大きな差となりますね。
そもそもアパート経営は立地が非常に重要です。
空室リスクの高い地域での不動産経営は、サブリースだろうと一般管理だろうと行うべきではありません。
空室リスクの少ないエリアで一般管理会社で運営するのが基本線として考えたほうがよいでしょう。
②家賃単価の見直しがある
サブリース契約の大きなデメリットとして、数年に一度家賃単価の見直しが設定されます。
たしかに普通に不動産経営していも、建物の老朽化に伴い家賃相場は下がっていくので当然といえば当然でしょう。
しかし、サブリース契約の場合その家賃単価はサブリース会社に委ねられます。
更新時期に突然家賃を1万円引き下げますと宣告されたらどうでしょう?
予定通りの家賃が入らない可能性がある契約なんてリスクが高いですよね。
仮に翌年から家賃7万円が6万円に減額とされたらどうなるか計算してみましょう。
家賃7万円×10室×0.8(80.0%)=56万円
家賃6万円×10室×0.8(80.0%)=48万円
サブリースの場合、家賃減額の相談がきて急に収入が数万円下がる可能性があるわけです。
家賃が減額されてもローン返済はし続けなければなりません。
自分に家賃の選択権がないことがサブリース契約のトラブルとなる事例も多い理由となっています。
③割高な建築費
サブリース契約は建物建築と同じ会社もしくは系列の会社で行われます。
ハウスメーカーはこの建物建築で利益を出すため、家賃保証ができるカラクリもあるわけです。
ひと昔前には規格化された安いアパートの壁が建築基準以下だったことが問題となったこともありましたね。
サブリースでも家賃を下げて損が出ないようにするのと同時に、建築費でしっかり利益を出そうとしてきます。
つまり建築費が割高である可能性も高いのが実態です。
必ず一社で決めず、複数社で見積比較をして検討することが大事です。
④リフォームや修繕費が割高
サブリース契約にはリフォームや修繕は、サブリース会社で行う旨の契約をさせれられることが多いでしょう。
サブリース会社は定期的なメンテナンスと銘打って、リフォームや修繕でも利益を出そうとしてきます。
メンテナンスはこちらで行うので安心してください。
メンテナンスの手間は一任できても費用は大家さん持ちです。
このメンテナンス費用が割高か安いかはなかなか大家さんではわかりませんから、サブリース会社の言いなりになるしかありません。
サブリース契約をしてしまったら、割高だからといってほかの会社にメンテナンスを依頼できないのはデメリットといえるでしょう。
⑤不利な契約をさせられるかも
サブリース契約は難しい言葉を並べて、分厚い契約書を用意されます。
これを全部しっかり読み込んで、すべて理解できたうえで契約できる大家さんならサブリースを進めてもよいでしょう。
しかし、多くの大家さんは「難しいから」「よくわからないから」といって、契約書をよく読まずにサブリース契約を進めてしまいます。
契約書をよくわからずにサブリース契約してしまうのは危ないです!
ズルい営業マンが口頭でいっていたことと違っても契約書がすべてです。
サブリースは大家さんにとって不利な契約となる文言が隠されている可能性があります。
解約したいと思っても、解約の時期や違約金など制約がかけられた契約となっていることがほとんどです。
リフォームや家賃見直しは不利な契約の代表格ですが、ほかにも不利な契約が隠れているかもしれませんよ。
⑥サブリース会社が倒産しないとは限らない
サブリースを行う会社は大手ハウスメーカーがほとんどです。
それだけ資金力があるということでしょう。
しかし、サブリース会社が倒産するリスクを忘れてはいけません。
サブリース会社でも早期退職をすすめている会社もありますし、一度社会的信用を失うとなかなか信用を取り戻すことはできません。
サブリース会社の経営が悪化してくれば家賃保証の減額だけでなく、管理も杜撰になっていく可能性があります。
「大手だから」「上場企業だから」という理由で安心するのは危ないかもしれませんね。
サブリース(不動産一括借り上げ)のデメリット6つまとめ
サラリーマン大家を目指す立場から、サブリース契約のデメリットを6つ紹介しました。
インターネットは企業サイトがずらりと並び、サブリース契約のメリットが記載されています。
ハウスメーカーの営業マンもサブリース契約をすすめてくるでしょう。
しかし、サブリース契約はハウスメーカーが儲かり、大家さんが損する仕組みがたくさん隠されています。
「知らなかった」「聞いていない」では済みませんので、サブリース契約のデメリットはしっかりと理解しましょう。
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